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ケアシリーズ②

馬場記念病院で実施する慢性呼吸不全ケアー在宅酸素療法について

更新日:2025年3月1日
発信者:社会医療法人ペガサス 馬場記念病院
監修者:名前(診療科・役職)

慢性呼吸不全は、呼吸機能の低下により体内の酸素供給が不足し、生活の質を大きく損なう疾患です。馬場記念病院では、慢性呼吸不全の患者さまに対して、専門的なケアと在宅酸素療法(HOT)を提供し、入院から在宅療養への移行をスムーズに支援しています。本記事では、慢性呼吸不全の基本的な知識から、当院の提供する専門的なケアの内容、在宅療養におけるご家族の役割について詳しくご紹介いたします。

目次

慢性呼吸不全ケアとはなにか

 

<慢性呼吸不全とはなにか?>

 

馬場記念病院では、慢性呼吸不全に対する専門的なケアを提供しております。慢性呼吸不全とは、長期間にわたり呼吸機能が低下し、十分な酸素を体内に取り込むことが難しくなる状態を指します。主な原因には、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺線維症、間質性肺炎などの疾患が挙げられます。
主な症状としては、以下のようなものがあります。
・息切れ(呼吸困難)
軽い運動時でも息切れを感じることが増える。
・倦怠感
酸素不足により、常に疲労感が抜けない状態になる。
・咳・痰の増加
気道が炎症を起こし、慢性的な咳や痰が出ることがある。
・チアノーゼ(皮膚や唇が青紫色になる)
血液中の酸素濃度が低下すると現れる症状である。

進行すると、心不全や呼吸器感染症のリスクが高まり、日常生活に大きな影響を及ぼします。そのため、早期診断と適切な治療が必要となります。

<専門的慢性呼吸不全ケアの中身>

 

馬場記念病院では、慢性呼吸不全に対して包括的なケアを行っています。医師、看護師、理学療法士、管理栄養士がチームを組み、患者さまの状態に合わせた治療プランを立案します。

● 呼吸リハビリテーション

・呼吸筋トレーニング
横隔膜呼吸や口すぼめ呼吸を指導し、呼吸の効率を向上させる。
・運動療法
適度な有酸素運動を取り入れ、全身の持久力を向上させる。
・呼吸補助具の活用
呼吸筋トレーナーを使用し、呼吸機能を維持・改善する。

● 酸素療法

・在宅酸素療法(HOT)
患者さまの酸素飽和度を測定し、適切な酸素投与量を決定する。
・酸素機器の導入と管理指導
ご自宅での酸素機器の使用方法を詳しく説明し、適切な管理ができるよう支援する。

● 薬物療法

・気管支拡張薬
吸入薬を用いて気道を広げ、呼吸を楽にする。
・ステロイド療法
炎症を抑えるために短期間使用することがある。
・抗生剤の投与
呼吸器感染症を予防・治療するために使用する。

● 栄養管理

・低栄養予防
適切なカロリー摂取を促し、筋力低下を防ぐ。
・体重管理
肥満による呼吸負担を軽減するため、食事指導を行う。

患者さまの状態に応じて適切に組み合わせることで、安心できる療養環境を提供しています。

慢性呼吸不全ケアの手順

 

<慢性呼吸不全ケアの流れ>

 

馬場記念病院では、慢性呼吸不全の患者さまに対して、入院から在宅療養まで一貫したサポートを行っています。

1.入院治療

・初期評価と治療開始
呼吸機能検査や血液ガス分析を行い、治療方針を決定する。
・呼吸リハビリテーションの実施
入院中から呼吸筋トレーニングを開始する。
・在宅酸素療法(HOT)の適応判断
血中酸素濃度が一定以下の患者さまに導入を検討する。

2.在宅療養への移行準備

・在宅酸素療法の導入
酸素濃縮器や携帯用酸素ボンベの使用方法を指導する。
・退院後のフォローアップ計画の策定
定期的な外来診察や訪問看護を手配する。
・ご家族へのケア指導
患者さまを支えるご家族の役割について説明する。

3.在宅療養の支援

・定期的な外来診察
病状の変化を確認し、治療計画を随時調整する。
・訪問看護による健康状態のチェック
自宅での呼吸状態や酸素機器の管理を支援する。
・必要に応じたリハビリテーションの継続
リハビリプログラムを調整しながら継続する。

治療から在宅療養への流れを明確にし、患者さまとご家族に寄り添った段階的なサポートで、安心して療養生活が送れるよう支援しています。

<ご家族の役割>

 

慢性呼吸不全の患者さまが安全に在宅療養を続けるためには、ご家族による日常生活でのサポートや緊急時の対応が大切です。正しい知識と準備が、患者さまの安心につながります。

● 酸素療法の管理

・酸素濃縮器や携帯用酸素ボンベの適切な使用方法を学ぶ。
・酸素チューブの取り扱いや機器のトラブル対策について指導する。

● 日常生活のサポート

・栄養バランスの取れた食事を準備する。
・体力維持のために、適度な運動を促す。
・室内環境を整え、換気や適切な湿度管理を行う。

● 緊急時の対応

・呼吸困難が悪化した際には、酸素投与の調整を行ったり、救急搬送の判断をする。
・医療機関への連絡方法や緊急時の行動計画を共有する。

馬場記念病院では、ご家族が在宅療養を安心して支えられるよう、酸素機器の管理や緊急対応に関する実践的な指導と継続的なフォローを行っています。

まとめ

馬場記念病院では、慢性呼吸不全の患者さまに対して、入院から在宅療養まで継続したケアを提供しています。在宅酸素療法を導入することで、患者さまがご自宅でも快適に生活できるようサポートしています。また、ご家族の方々にも適切な指導を行い、患者さまの療養生活を支える環境づくりに努めています。今後も、患者さま一人ひとりに寄り添った質の高い医療を提供していきます。

監修者プロフィール

名前

診療科・役職

●職種・資格

医学博士
日本脳神経外科学会 指導医
近畿脳神経外科学会 評議員
日本脳卒中学会 指導医

●メッセージ

脳神経外科ではありますが、全例手術を行うのではなく、状態、症状に対して、確実かつ適切な治療を行います。また、外来診療のみでなく、救急でも即座に対応できるような体制をとっています。

よくある質問


いいえ、適切に準備をすれば外出は可能です。 携帯用酸素ボンベを使用することで、外出や買い物、散歩などを楽しむことができます。医師や担当者と相談し、適切な酸素流量を確認した上で、無理のない範囲で外出をしましょう。


酸素は助燃性が高いため、火気の近くでは絶対に使用しないでください。 タバコやストーブ、ガスコンロの近くでの使用は避け、火気から少なくとも2メートル以上離して設置しましょう。調理時は酸素チューブが火に触れないように注意し、喫煙は厳禁です。


医師の指示がある場合は、就寝時も酸素を使用する必要があります。 特に睡眠中は呼吸が浅くなりやすいため、適切な酸素濃度を保つことが重要です。就寝時にチューブが外れないように注意し、酸素流量は医師の指示通りに調整してください。

<お知りになりたいことを、お問い合わせください>

● 編集部が取材した当院の今

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