療養シリーズ②
更新日:2025年3月1日
発信者:プロジェクトリンクト事務局
監修者:名前(病院名・診療科・役職)
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、長年の喫煙や大気汚染、粉塵(ふんじん)の吸入などが原因で、肺の機能が低下し、呼吸がしにくくなる病気です。進行すると慢性呼吸不全を引き起こし、息苦しさ(呼吸困難)や疲れやすさが続き、日常生活に大きな影響を及ぼします。しかし、適切な療養管理を行うことで、病気の進行を遅らせ、生活の質(QOL)を向上させることが可能です。療養管理では、呼吸機能の維持、症状の悪化防止、生活の快適さを保つことを目標とします。本記事では、慢性呼吸不全(COPD)の療養管理の目的と基本、具体的な進め方、家族の役割について詳しく解説します。
COPDは進行性の病気ですが、日々の療養管理を丁寧に行うことで、症状の悪化を防ぎ、合併症のリスクを下げることが可能です。
・COPDは進行性の病気ですが、適切な管理を行うことで、進行を遅らせることができる。
・禁煙、適切な薬物療法、呼吸リハビリテーションを実施することで、息切れを軽減し、呼吸機能を維持する。
・COPDは肺炎や心不全のリスクを高めるため、感染症予防や定期的な検診が必要である。
・酸素療法が必要な場合は、適切な酸素管理を行うことで心臓への負担を減らすことができる。
・息切れを減らし、できるだけ自立した生活を維持することが大切である。
・食事や運動の工夫、ストレス管理を通じて、快適に過ごせる環境を整えることが求められる。
COPDの療養管理は、病気の進行を遅らせるだけでなく、息苦しさを軽減し、快適な生活を維持するために欠かせません。日常の積み重ねが大きな支えとなります。
COPDの症状を安定させるためには、禁煙や薬の管理、感染予防など、日々の生活に密接した5つの項目を継続して管理しましょう。
喫煙はCOPDの最大のリスク要因であるため、完全禁煙が必須であり、家族の協力も重要となる。
気管支拡張薬(吸入薬)を正しく使用し、気道を広げて呼吸をしやすくする。
インフルエンザ・肺炎球菌ワクチンを接種し、感染症を予防する。
腹式呼吸や口すぼめ呼吸を習慣化し、息切れを軽減する。
栄養不足を防ぐため、バランスの良い食事(低炭水化物・高タンパク食推奨)を摂る。
毎日の生活習慣の中で継続的に取り組むことで、COPDの進行を抑え、快適な日常生活を維持することが可能です。
COPDの療養管理は、軽症・中等症・重症までの進行度に応じて対応を変えていくことが大切です。
・禁煙(最大の治療法)を徹底する。
・吸入薬を適切に使用し、気道の炎症を抑える。
・呼吸リハビリテーションを開始し、息切れを軽減する。
・息切れが強くなり、日常生活の動作が困難になる。
・長時間作用型気管支拡張薬(LAMAやLABA)の使用を増やす。
・感染症のリスクが高まるため、ワクチン接種や手洗い・うがいを徹底する。
・慢性的な酸素不足により、在宅酸素療法(HOT)が必要になる。
・動作時の息切れが強く、日常生活に支障が出るため、介助が必要になる。
・定期的な医療機関の受診と、適切な介護・リハビリテーションのサポートが不可欠である。
患者さまの症状や進行度に応じて、療養の方法を調整するようにしましょう。早い段階からの対応が、息苦しさの軽減と生活の安定につながります。
COPDの療養生活を支えるうえで、ご家族の存在は欠かせません。生活環境の整備から精神的な支えまで、さまざまな面での関わりが患者さまの安心感や呼吸状態の安定につながります。
・自宅内の空気を清潔に保つ(禁煙・換気・空気清浄機の使用)。
・移動をサポートするために手すりを設置する。
・必要に応じて、在宅酸素療法(HOT)の環境を整える。
・吸入薬の使い方を確認し、正しく使用できるようサポートする。
・在宅酸素療法を受ける場合は、酸素ボンベの適切な管理を行う。
・エネルギー不足を防ぐために、栄養価の高い食事(低炭水化物・高タンパク食)を提供する。
・息切れを減らすため、少量ずつ頻回に食事を摂る(1日5~6回の小分け食)。
・腹式呼吸や口すぼめ呼吸を一緒に練習する。
・過度な動作を避け、無理のない範囲で活動を促す。
・息苦しさへの不安を和らげるため、励ましや共感を心がける。
・患者さまが外出を楽しめるよう、適切なサポートを行う。
・介護者自身も負担を減らすために、デイケアや訪問看護を活用する。
ご家族の関わりは、患者さまの不安を和らげ、病状を安定させる大きな力になります。無理なく続けられる関わり方を見つけることで、ご家庭全体で支えるようにしましょう。
監修者プロフィール
診療科・役職
●職種・資格
医学博士
日本脳神経外科学会 指導医
近畿脳神経外科学会 評議員
日本脳卒中学会 指導医
●メッセージ
脳神経外科ではありますが、全例手術を行うのではなく、状態、症状に対して、確実かつ適切な治療を行います。また、外来診療のみでなく、救急でも即座に対応できるような体制をとっています。
慢性呼吸不全(COPD)の管理には吸入薬が欠かせません。症状が落ち着いていても、医師の指示に従い継続することが重要です。正しい使用方法で吸入しないと効果が十分に得られないため、不安がある場合は医療スタッフに相談しましょう。
適度な運動は呼吸機能を維持し、体力低下を防ぐために重要です。医師や理学療法士の指導のもと、無理のない範囲でウォーキングや軽い筋力トレーニングを行うと良いでしょう。息苦しさを感じたときは、無理せず休憩してください。
息苦しさを感じたときは、無理をせず安静にし、リラックスできる姿勢をとることが大切です。
● 口すぼめ呼吸(ゆっくり鼻から息を吸い、口をすぼめてゆっくり吐く)
● 前かがみ姿勢をとる(座った状態でテーブルに腕をのせ、上半身を前に倒す)
● 酸素療法をしている場合は適切に使用する
症状が改善しない場合は、すぐに医療機関に連絡しましょう。
● あなたの不安に寄り添います
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