診断シリーズ②
更新日:2025年3月1日
発信者:プロジェクトリンクト事務局
監修者:名前(病院名・診療科・役職)
心房細動(しんぼうさいどう)は、心臓のリズムが不規則になり、脈が速くなったり、不規則になったりする不整脈の一種です。症状が軽い場合もありますが、放置すると脳梗塞や心不全のリスクが高まるため、早期の診断と適切な治療が重要です。本記事では、心房細動の基礎知識、初期症状やリスク、検査方法、治療の選択肢について詳しく解説します。
心臓は通常、規則正しく拍動し、血液を全身に送り出すポンプの役割を果たしていますが、心房細動は心房が異常な電気信号を発生し、不規則で速い拍動を繰り返すため、心臓の動きが不安定になる病気です。
・高血圧
心房に負担がかかり、不整脈を引き起こす。
・心疾患
冠動脈疾患、弁膜症、心不全などによる心房の異常
・加齢
心房の線維化が進み、電気信号が乱れやすくなる。
・甲状腺機能亢進症
ホルモンの影響で心拍が異常に速くなる。
・睡眠時無呼吸症候群
低酸素状態が心房を刺激し、不整脈を誘発する。
・アルコール・喫煙・ストレス
交感神経が過剰に刺激され、心拍が不安定になる。
心房細動は持続時間によって、以下のように分類されます。
・発作性心房細動
数秒〜数日で自然に収まる。発作的に起こるが、繰り返すことがある。
・持続性心房細動
1週間以上続くが、薬や電気ショックのなどの治療で元に戻る。
・慢性(永続性)心房細動
治療しても正常なリズムに戻らず、心房細動のまま過ごす。
心房細動は高血圧や心疾患などによって引き起こされますが、症状や持続時間に応じた分類と治療の選択が重要です。
心房細動の初期症状は個人差があり、動悸や息切れ、めまいなどが現れる場合もあれば、まったく初期症状がないこともあります。
心房細動の症状は人によって異なり、自覚症状がない場合もあれば、動悸や息切れを強く感じる場合もあります。
・動悸(どうき)
脈が急に乱れたり、ドキドキする感じがする。
・息切れ
軽い運動でも息苦しくなる。
・めまい、ふらつき
脳への血流が不安定になり、立ちくらみが起こる。
・疲れやすい
血液が十分に循環せず、だるさを感じる。
・胸の違和感
胸の締めつけや不快感がある。
心房細動は放置すると、以下のような重大な合併症を引き起こす可能性があります。
・脳梗塞
心房の中にできた血栓が脳の血管に詰まり、脳梗塞を引き起こす。
・心不全
心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送れなくなる。
・突然死
稀に、心房細動がより重篤な不整脈に移行し、致命的な状態を引き起こすことがある。
症状が軽度でも重い合併症につながることがあるため、早めに気づき、医療機関を受診しましょう。特に脳梗塞のリスクには十分な注意が必要です。
心房細動が疑われる場合は、心電図や心エコーなどの検査を通じて、心臓の動きや電気信号の状態を正確に把握します。
・心電図(ECG)
心臓の電気的な活動を記録し、リズムの乱れを確認する。
・ホルター心電図
24時間装着して、不整脈の発生状況を詳しく調べる。
・心エコー(超音波検査)
心臓の形や動きを観察し、血栓の有無を確認する。
・血液検査
甲状腺機能や電解質の異常がないかをチェックする。
これらの検査によって心臓の状態を詳しく確認することで、個々の症状や合併症のリスクに応じた治療を行うことが可能です。
心房細動の治療は、薬物療法に加え、根治を目指すカテーテルアブレーションなどがあります。治療は、症状の重さや合併症のリスクに応じて選択されます。
・抗不整脈薬
心臓のリズムを安定させる(例:アミオダロン、ビソプロロール)。
・抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)
血栓予防(ワルファリン、DOACなど)
・β遮断薬
心拍数を抑える(メトプロロール、カルベジロール)。
・カテーテル(細い管)を心臓に挿入し、不整脈の原因となる異常な電気信号を遮断する治療法
・若年者や薬で効果が得られない患者さまに推奨される。
・塩分・脂肪の摂取を控え、野菜中心のバランスの良い食事を心がける。
・適度な運動(ウォーキングなど)を継続し、心血管の健康を維持する。
・ストレスを避け、規則正しい生活を送る(睡眠不足や過労を防ぐ)。
適切な治療を継続することで、合併症を防ぎながら安定した生活を送ることができます。治療とともに、食事や運動など生活習慣の見直しを行うことも再発予防には欠かせません。
監修者プロフィール
診療科・役職
●職種・資格
医学博士
日本脳神経外科学会 指導医
近畿脳神経外科学会 評議員
日本脳卒中学会 指導医
●メッセージ
脳神経外科ではありますが、全例手術を行うのではなく、状態、症状に対して、確実かつ適切な治療を行います。また、外来診療のみでなく、救急でも即座に対応できるような体制をとっています。
心房細動の症状は人によって異なりますが、以下のようなものがあります。
● 動悸(ドキドキする、脈が乱れる感じ)
● 息切れや疲れやすさ
● めまいやふらつき
● 胸の不快感や痛み
● 無症状(自覚症状がない人もいる)
一方で、症状がなくても放置すると脳梗塞のリスクが高まるため、定期的な検査が重要です。
動悸や息切れを感じた場合は、早めに医師に相談しましょう。
心房細動では、心房が正常に収縮せず、血液がよどんでしまうため、血の塊(血栓)ができやすくなります。
この血栓が血流に乗って脳の血管を塞ぐと、脳梗塞(心原性脳梗塞)を引き起こす危険があります。
心房細動を持つ方は、生活習慣の管理が症状の悪化や脳梗塞の予防に重要です。
● 塩分を控え、高血圧を防ぐ(減塩食を意識する)
● ストレスを減らし、規則正しい生活を送る
● アルコールやカフェインの過剰摂取を避ける(心拍を乱す原因になる)
● 適度な運動を行い、肥満を防ぐ(ウォーキングや軽い筋トレなど)
● 禁煙する(喫煙は血管を収縮させ、不整脈を悪化させる)
また、抗凝固薬を処方されている場合は、自己判断で中止せずに継続することが大切です。
生活習慣の改善と適切な治療を続けることで、心房細動の悪化や合併症を防ぐことができます。
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