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リハビリテーションシリーズ②

馬場記念病院で実施する摂食嚥下障害に対する言語聴覚療法

更新日:2025年3月1日
発信者:社会医療法人ペガサス 馬場記念病院
監修者:名前(診療科・役職)

馬場記念病院では、摂食嚥下障害を持つ患者さまに対し、言語聴覚士(ST)による専門的なリハビリテーションを提供しております。摂食嚥下障害は、加齢や疾患(脳卒中、神経疾患、頭頸部がんなど)によって飲み込む機能が低下することで発生します。この障害があると、食べ物や飲み物がうまく飲み込めず、栄養不足や誤嚥性肺炎のリスクが高まります。そのため、適切なリハビリテーションを行い、安全な食事の確保と生活の質(QOL)の向上を図ることが重要です。
当院では、患者さま一人ひとりの状態に応じた個別のリハビリプログラムを作成し、摂食嚥下機能の向上を支援しております。

目次

運動機能障害に対する言語聴覚療法の基本

 

<言語聴覚士とは>

 

言語聴覚士(ST)は、言語、発声、発音、聴覚、摂食嚥下機能の評価と訓練を行う専門職です。当院では、摂食嚥下障害のリハビリテーションを専門とする言語聴覚士が患者さまの嚥下機能を詳しく評価し、適切な訓練を提供しています。
言語聴覚療法では、以下のようなアプローチを行います。
・口腔、舌、咽頭の筋力訓練
飲み込む際に必要な筋肉を鍛える。
・嚥下反射の促進
冷刺激や特定の訓練を用いて、嚥下の反応を高める。
・食事姿勢の調整
誤嚥を防ぐために、適切な姿勢で食事をする方法を指導する。
・呼吸機能の向上
飲み込みと呼吸のタイミングを調整し、誤嚥のリスクを軽減する。
・食事形態の工夫
患者さまの嚥下機能に応じて、食事の形態(ミキサー食、刻み食、とろみ付き飲料など)を調整する。

患者さまの状態に合わせたアプローチを行い、「安全に食べられる」ことを目指してサポートしています。

<摂食嚥下障害に対する言語聴覚療法の効果とリスク>

 

当院の言語聴覚療法には、以下のような効果が期待できます。
・嚥下機能の向上
訓練を継続することで、飲み込む力を高める。
・誤嚥性肺炎の予防
食物が気道に入るリスクを低減し、肺炎の発生を防ぐ。
・栄養状態の改善
安全に食事ができるようになることで、栄養不足を防ぐ。
・生活の質(QOL)の向上
食事を楽しめることで、精神的な満足感が向上する。

一方で、誤った方法で嚥下訓練を行うと、誤嚥や窒息のリスクが高まる可能性があるため、専門的な評価のもと慎重にリハビリテーションを進める必要があります。

摂食嚥下障害に対する療法の流れ

 

<言語聴覚療法の実施手順>

 

当院では、摂食嚥下障害に対するリハビリテーションを、以下の流れで実施しております。

① 初期評価

・診察や問診を通じて、患者さまの摂食嚥下機能を詳細に評価する。
・必要に応じて、内視鏡嚥下検査(VE)や嚥下造影検査(VF)を実施する。

② 治療計画の策定

・評価結果をもとに、患者さまに最適なリハビリテーションプログラムを作成する。
・必要に応じて、食事形態や食事環境の調整を行う。

③ リハビリテーションの実施

・嚥下訓練
嚥下運動を促すトレーニングを実施する。
・筋力強化
口腔、舌、咽頭の筋肉を鍛える。
・誤嚥防止訓練
安全な飲み込み方法を指導する。
・食事指導
適切な食事形態や食べ方の指導を行う。

④ 経過観察と再評価

・訓練の効果を定期的に評価し、プログラムを見直す。
・ご家族や介護者に対して、食事介助の方法を指導する。

段階的な訓練と評価を行いながら、患者さまの状態に応じた最適なリハビリテーションを提供し、日常の食事動作を支援しています。

<退院後のサポート体制>

 

当院では、退院後も安心して生活できるよう、以下のサポートを提供しています。
・訪問リハビリテーション
自宅での嚥下訓練や食事指導を行う。
・地域医療機関や介護施設との連携
必要に応じて、医療・介護機関と協力しながら支援を行う。
・ご家族向けの指導・相談対応
介護者が適切に食事をサポートできるよう指導する。

また、ご家族向けに「安全な食事介助のポイント」をまとめた資料を提供し、具体的な注意点をわかりやすく説明しております。

まとめ


馬場記念病院では、摂食嚥下障害を持つ患者さまが安全に食事を楽しめるよう、言語聴覚士による専門的な療法を提供しています。適切な評価と訓練を組み合わせることで、嚥下機能の向上を図り、誤嚥のリスクを軽減しながら、患者さまの生活の質を高めることを目指しています。
さらに、退院後も継続したサポートを行い、患者さまとご家族が安心して生活できるよう努めています。何かご不明な点がございましたら、いつでも当院へご相談ください。

監修者プロフィール

名前

診療科・役職

●職種・資格

医学博士
日本脳神経外科学会 指導医
近畿脳神経外科学会 評議員
日本脳卒中学会 指導医

●メッセージ

脳神経外科ではありますが、全例手術を行うのではなく、状態、症状に対して、確実かつ適切な治療を行います。また、外来診療のみでなく、救急でも即座に対応できるような体制をとっています。

よくある質問


椅子に深く座り、背筋を伸ばして顎を軽く引いた姿勢が理想的です。上体をやや前傾させると飲み込みやすくなります。寝たままの姿勢は誤嚥のリスクが高いため、可能な限り避けましょう。


嚥下機能を維持・向上させるためには、毎日継続的に行うことが重要です。1回のトレーニング時間は5~10分程度を目安にし、食事前やリラックスした時間に取り入れると効果的です。また、嚥下機能の低下が進んでいる場合は、1日2~3回に分けてトレーニングを行うのも良いでしょう。無理のない範囲で、継続することが最も大切です。


飲み込みにくい場合は、食べ物を小さく切ったり、一口の量を少なくして、よく噛んでから飲み込むようにしましょう。また、トロミをつけた飲み物を使うと、スムーズに飲み込めることがあります。

<お知りになりたいことを、お問い合わせください>

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