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障害シリーズ②

摂食嚥下障害(脳卒中)について知ろう

更新日:2025年3月1日
発信者:プロジェクトリンクト事務局
監修者:名前(病院名・診療科・役職)

脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)の後遺症として、摂食嚥下(えんげ)障害が生じることがあります。
摂食嚥下障害とは、食べ物や飲み物を適切に口の中で処理し、飲み込むことが困難になる状態を指します。この障害があると、食事中にむせる、誤嚥(ごえん)して食べ物が気管に入る、飲み込むのに時間がかかるなどの問題が発生します。これらは誤嚥性肺炎のリスクを高め、栄養不足や脱水症状を引き起こす原因ともなります。
しかし、適切なリハビリテーションと食事の工夫を行うことで、嚥下機能を改善し、食事の安全性を確保することが可能です。本記事では、摂食嚥下障害の基礎知識、生活への影響、リハビリテーションの基本、ご家族の役割について詳しく解説します。

目次

摂食嚥下障害の基礎知識

 

<摂食嚥下障害とはなにか?>

摂食嚥下障害とは、食べ物や飲み物を適切に口の中で処理し、飲み込むことが困難になる状態を指します。

● 嚥下(えんげ)のプロセス

嚥下は、以下の5つの段階で行われます。
1. 先行期
食べ物を認識し、口へ運ぶ準備をする。
2. 準備期
食べ物を噛み、飲み込みやすい形にする。
3. 口腔期
舌を使って食べ物をのどへ送り込む。
4. 咽頭期
のどの筋肉を使って食べ物を食道へ通す。
5. 食道期
食道を通過し、胃へ送られる。

● 主な摂食嚥下障害の症状

・食事中のむせ
飲み込む際にむせやすく、咳き込むことが増える。
・口に食べ物が残る
噛んだり飲み込んだりするのが難しく、食べ物が口の中に残る。
・食べ物や水がのどにつかえる
のどを通過しにくく、食事に時間がかかる。
・誤嚥(ごえん)
食べ物や水が気管に入ることで、誤嚥性肺炎のリスクが高まる。
・食欲の低下
食事が大変なため、食べること自体を避けるようになる。

摂食嚥下障害は、5つの段階で問題が発生し、食べ物が口やのどに残る、飲み込みにくい、気管に入る(誤嚥)などの症状を引き起こします。特に、誤嚥性肺炎の予防や栄養管理が重要になります。

<摂食嚥下障害が引き起こす生活の変化>

 

摂食嚥下障害は、食事だけでなく、健康状態の悪化や精神的な負担、社会参加の意欲低下など、生活の質(QOL)にも影響を及ぼします。

● 食事の困難

・固形物が食べづらくなる(特に乾いた食品や硬いもの)。
・飲み込みに時間がかかるため、食事が長時間になる。
・食事中にむせるため、食べることが不安になる。

● 健康リスクの増加

・誤嚥性肺炎(誤って食べ物や飲み物が気管に入り、肺炎を引き起こす)
・栄養不足(食事量が減ることで、栄養状態が悪化)
・脱水症状(水分摂取が難しくなるため、水分不足になりやすい)

● 精神的な影響

・「食べられない」というストレスや喪失感
・食事の楽しみが減り、外出や社会参加の意欲が低下
・周囲に迷惑をかけるのではないかと不安になる。

これらの影響を抑えるために、早期から適切なリハビリテーションを行い、食事の工夫を取り入れることが重要です。

摂食嚥下に対するリハビリテーション

 

<摂食嚥下リハビリテーションの基本>

 

摂食嚥下障害のリハビリテーションでは、「口の機能を改善する訓練」や「飲み込みやすい食事の工夫」が重要になります。

● 口腔・嚥下機能を向上させる訓練

・口周りの筋力トレーニング(口唇や舌の運動)
・喉の筋肉を鍛える嚥下体操
・発声訓練(「あ・い・う・え・お」をはっきり発音する)

● 食事の工夫

・飲み込みやすい食事形態(とろみをつける、やわらかい食品を選ぶ)
・食べる姿勢を整える(頭を少し前に傾けるなど)。
・一口ずつゆっくり食べる習慣をつける。

リハビリテーションは、医師・言語聴覚士(ST)・栄養士などの専門家と連携しながら行うことが望ましいです。

<ご家族の役割>

 

ご家族のサポートは、患者さまが安全に食事を楽しみ、自信を持って日常生活を送るうえで大きな支えとなります。

● 生活環境の整備

・食事の際は、落ち着いた環境を作る(テレビや会話を控える)。
・食事の姿勢を整える(椅子に座り、頭を少し前に傾ける)。
・誤嚥を防ぐために、食後しばらくは横にならないようにする。

● 食事の工夫

・食べやすい形態に調整する(刻み食・ペースト食・とろみ付き飲料など)。
・水分補給を工夫する(とろみをつける、ゼリー飲料を利用する)。
・ゆっくり食べるように促し、無理に食べさせない。

環境を整えたり、食事に工夫を取り入れたりしながら、ご家族が無理のない範囲で見守っていくことは、患者さまのリハビリテーションの成功に大きくつながります。

まとめ

監修者プロフィール

名前

診療科・役職

●職種・資格

医学博士
日本脳神経外科学会 指導医
近畿脳神経外科学会 評議員
日本脳卒中学会 指導医

●メッセージ

脳神経外科ではありますが、全例手術を行うのではなく、状態、症状に対して、確実かつ適切な治療を行います。また、外来診療のみでなく、救急でも即座に対応できるような体制をとっています。

よくある質問


回復の程度は脳の損傷の部位や重症度によりますが、嚥下リハビリテーションを継続することで改善が期待できる場合があります。特に早期に適切なリハビリテーションを開始することが重要です。軽度であれば、食事形態の調整や嚥下訓練によって日常の食事が可能になることもあります。


食事中にむせる回数が増えた場合は、誤嚥の兆候の可能性があるため注意が必要です。まずは、食事の姿勢や食べ方を見直し、とろみをつけたり刻み食に変更したりすることで対応できる場合があります。改善しない場合は、嚥下機能の低下が進行している可能性があるため、医師や言語聴覚士に相談し、嚥下機能の評価を受けることが重要です。


誤嚥性肺炎を予防するには、誤嚥を防ぐ対策と口腔ケアが重要です。誤嚥しにくい姿勢で食事をし、食後には軽い運動やうがいをして口腔内に食べ物が残らないようにすることが効果的です。また、歯磨きや口腔ケアをこまめに行い、口の中の細菌を減らすことで、誤嚥した際の肺炎リスクを下げることができます。

● 摂食嚥下障害(脳卒中)

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